心やさしい英雄 モンゴルの友
赤嶺先生ボクシングストーリー
朝日新聞 2002年1月13日 「読者のページ」より
昨年末、私は一人のモンゴル人と出会った。ラクバ・シン。ボクシングのスーパーフェザー級で、畑山チャンピオンをTKOしてタイトルを奪ったものの、その後「不思議」といわれる判定でチャンピオンの座を追われた悲運のボクサーである。モンゴルの英雄と呼ばれ、最初は近づきがたい雰囲気を感じていた。
ところが、実に気さくで明るくやさしく、ユーモアもあり、所属ジム一番の人気者である。彼はもう一度「世界」をとるために日本にやってきた。たくましく頑張る姿を見て、「偉いな」と感心した。私のような「年寄りボクサー」の相手までしてくれる。この正月休み、3回も相手をしてもらい、手加減のボディブローでもすべて倒された。そのたびに「大丈夫?」と助け起こされた。「強い人ほど優しい」という言葉どおりだ。
年齢は親子ほどだが、すばらしい人に出会えて幸せだ。謙虚、誠実、明るさ、勇気、努力、そして冷静さ。学ぶことがいっぱい。自分の仕事に生かしたい。
そして、彼の今年中の世界タイトル奪取を願う。